今日「日本人に欠けているのは心の豊かさ」といわれます。
物質文明の進展により、人々の生活はますます豊かになりました。しかし、その反面人間関係は希薄となり、連帯する心のない時代でもあります。
これはひとえに、急角度に上昇した物質文明にくらべて、精神文明がたちおくれ、おろそかにされてきた結果でありましょう。
このような現状をみる時、今こそ、私達は人々の心の中に悠々たる日本民族の伝統と精神文化をうけつぎ、語り伝えてゆかねばと思うのです。
鑑みるに華道、茶道においては、その伝統をうけつぎ、それなりに周知されていますが、ひとり香道のみは、江戸時代を盛期に再興の機会が待ち望まれています。香道は、人格涵養に役立つとともに、日本文学に寄与した分野は誠に広く、香道を解せずして日本文学の真髄を解することは出来ないとさえ言われています。
しかし、今日の文明は、このような幽玄深遠な香りの文化とは異質不和合な状態であり、その上に銘香木は言うに及ばず、香木の入手困難がさらに拍車をかけて、香りの文化の発展を疎外しています。
公益財団法人お香の会は、このような現状を憂い、日本文化を深く理解し、さらに伝統ある香りの文化保持・育成のために香道をより普及させる目的をもって結成されました。当財団では、この目的を達成するため、お香の会の開筵、研修会、講習会、体験のための香会、親子香道体験教室を開催する等の事業を展開しています。
公益財団法人 お香の会